EAを選ぶとき、利回りや勝率と並んで必ず確認すべき指標が「ドローダウン」です。ところが「なんとなく怖い数字」と理解したまま、しっかり確認せずにEAを選んで後悔するケースが非常に多い。
この記事では、ドローダウンの意味・3種類の違い・計算方法・EA選びで使える許容範囲の目安まで、図解を交えて徹底解説します。
1. ドローダウンとは——一言で言うと
たとえば、口座残高が一時的に100万円まで増えたあと、連続した損失で80万円まで下がった場合——この「20万円の下落(20%)」がドローダウンです。
利回り(リターン)だけ見てEAを選ぶと、高利回りだがドローダウンが50%という危険なEAを掴む可能性があります。ドローダウン50%とは「口座残高が半分になる時期がある」ということ。精神的にも資金的にも、多くの人は途中で耐えられず撤退します。ドローダウンはEAの「安全性・安定性」を測る最重要指標です。
2. 3種類のドローダウンの違い
ドローダウンには3つの種類があります。MT4/MT5のバックテストやフォワードテストで表示される数値がどれを指しているか、必ず確認しましょう。
計測期間中に記録された、ピークから谷底までの最大下落幅。バックテスト・フォワードテスト結果で最もよく参照される指標です。
MT4/MT5バックテスト結果では「Maximal drawdown」として表示されます。金額・パーセンテージの両方が表示されます。
ピーク時の残高に対する割合(パーセンテージ)で示したドローダウン。比率で見るため、元本の大小に関わらず同じ基準で比較できます。
異なる口座規模・異なるEAを横並びで比較するときに使います。
初期入金額(デポジット)を基準として、そこからの最大下落幅。「元手に対していくら減ったか」を示します。
MT4バックテストで「Absolute drawdown」として表示。最大ドローダウンより小さくなることが多いです。
3つの中で最もリスクを厳しく評価するのが最大ドローダウンです。EA選びの際は必ずこの数値を確認してください。
3. 資産曲線で見るドローダウンのイメージ
ドローダウンは「ある時点で50%」という一時的な状態を指します。その後に回復して最終的にプラスになるEAでも、途中で50%ドローダウンを経験することがある——それが示すリスクです。途中で耐えられず撤退すると、その損失が確定してしまいます。
4. 計算方法——最大ドローダウンの求め方
→ (120 − 90)÷ 120 × 100 = 25.0%
→ (150 − 75)÷ 150 × 100 = 50.0%
5. EA選びの許容範囲——何%まで許せるか
最大ドローダウンの「許容範囲」は資金規模・精神的耐性・運用期間によって変わります。ただし、一般的な目安として以下が参考になります。
| 最大DD | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 〜10% | ◎ 優秀 | 精神的・資金的に余裕を持って運用できる。ただし利回りも低めのことが多い |
| 10〜20% | ○ 良好 | バランスが良い。初心者〜中級者向けのEAに多い範囲 |
| 20〜30% | △ 要注意 | 許容できるが、資金管理と精神的耐性が必要。利回りとのバランスを見て判断 |
| 30〜50% | ✕ 危険 | 証拠金が半減するリスク。よほど高い利回りでなければ選ばない方が無難 |
| 50%超 | ✕✕ 論外 | 口座残高が半分以下になる可能性がある。通常は採用しない |
管理人が実際にEAを選ぶ際の基準は最大ドローダウン20%以内です。バックテストは相場環境が良い期間だけを使っている場合があるため、実際のフォワードテスト(リアル口座)のドローダウンも合わせて確認します。バックテストDD 15% → フォワードDD 30%という乖離があれば要注意です。
6. ドローダウンから回復するために必要な利益率
ドローダウンが怖い理由のひとつが「損失を取り戻すのに必要な利益率は、損失率より大きくなる」という非対称性です。
| ドローダウン(損失率) | 元の残高に戻るために必要な利益率 |
|---|---|
| 10%の損失(100万→90万) | 約11.1%の利益が必要 |
| 20%の損失(100万→80万) | 25%の利益が必要 |
| 30%の損失(100万→70万) | 約42.9%の利益が必要 |
| 50%の損失(100万→50万) | 100%の利益が必要 |
7. EA選びチェックリスト——ドローダウン確認7項目
EAを選ぶ際、ドローダウンに関して以下の7項目を確認してください。
「バックテストのドローダウンが低すぎる」EAが抱える落とし穴——カーブフィッティングを解説しています。
カーブフィッティングを学ぶ →- ドローダウン=口座残高がピークからどれだけ下落したかを示す指標
- 3種類あるが、EA選びでは最大ドローダウン(MDD)を最重視する
- 許容範囲の目安は20%以内。30%超は精神的・資金的に耐えにくい
- 50%ドローダウンから回復するには100%の利益が必要——損失の非対称性を理解する
- バックテストとフォワードテストのDD乖離が大きいEAは過剰最適化の疑いがある
- EA選びでは利回りだけでなく「利回り÷最大DD(リカバリーファクター)」もチェックする
